ステンレスを豆腐に変える!切削油のお話

NC旋盤

どちらかというと難削材の部類に入れたいステンレス、嫌いです。特に穴加工やタップの加工は何度やってもヒヤヒヤします。

ステンレスが嫌な理由

  1. ある程度硬いのに粘っこい(削りにくい)
  2. 熱伝導率が低い(刃持ちが悪い)
  3. 材料の値段も高い(刃物が折れると心も折れる)

切削油で潤滑しながら削ることで削りやすくなるのですが、なぜ削りやすくなるのかというと

切削中に刃先で起こっている現象は刃先と材料の摩擦です。

摩擦によって発生する温度上昇で、被削材の加工硬化と高温による刃先の劣化が起こり異常に摩耗し、さらに切粉が刃物と被削材に挟まれ欠けが発生、切れない刃先で削ることで切削抵抗が増えます。

切削抵抗が増えることでさらに熱が発生、熱と抵抗で被削材内の応力は更に増し、摩耗と摩擦熱のスパイラルによって高精度な加工が不可能になります。

そこで、ステンレスに限らず摩擦を低減し、効率よく切削するため加工時は切削油を使用します。

最近は環境対応のためだったり、高回転・高送りのハイスピード加工のため水溶性が多く使われています。

水溶性クーラントのほかに非水溶性(油)、エアーにわずかに油を混ぜるMQL、油を霧状に吹きかけるオイルミストの他エアブローで加工します。

潤滑油(クーラント)には種類やグレードが数多くあり、被削材や加工方法、機械スペックや環境にあった良質なものを選ぶ必要があります。

良い切削油の定義とはエンジンオイルと似ていて3要素のバランスが良い切削油(クーラント)です

  1. 潤滑作用
  2. 冷却作用
  3. 清浄作用

被削材と刃物の摩擦を小さくして刃物の摩耗を防止する潤滑作用。
被削材と刃物の摩擦により発生する熱を抑制することで、寸法安定化、加工面品質、熱による刃物の異常摩耗や変質を防ぐ冷却作用。
切削により発生する切粉の排出する清浄作用。

効率的に生産するマシニングセンターやNC旋盤には切削油(クーラント)は欠かせません。
そして高圧で集中的に供給する必要があります。

ウチはマシニングセンターとNC旋盤には水溶性を使用しています。
機械は他に汎用旋盤とボール盤がありますが、こちらは油性をハケ付けで加工しています。

汎用旋盤やボール盤のようにカバーの無い汎用機では高圧で大量に供給することはできません。
今では汎用機で高速で大量に生産することは求められていません。

汎用機で加工する大半は、部品の追加工やプログラムを組むコストまで出せない単品加工、職人技による特殊な加工です。
カバーの無い汎用機でも高精度な寸法要求や加工面品質を求められる加工をする場合は、切削油(クーラント)が必要になります。

汎用機の場合はハケ付けで加工する場合がほとんどです、フルカバーのNC機のように高回転で回すことがないのでコレで十分です。
穴あけ加工する場合はポンプで連続供給する場合もありますが、高圧では供給しません

ステンコロリン赤

やっと本題です。

強力な潤滑性能でステンレスのような熱伝導率の低い被削材でも摩擦熱を抑え、熱膨張による穴収縮を抑えます。

熱膨張だから穴は膨張すると大きくなるのでは?

答え:穴は縮みます

その結果寸法は安定し、面粗さも安定します。

さすがに豆腐にはなりませんが、練り状のタッピングペーストや、他のスプレータイプの切削油に比べたら間違いなくトップレベルの潤滑性能です。

名前が「ステンコロリン」ですが実はアルミのタップやリーマ加工に最適で、ムシレなくバシッと寸法出してくれます。

水溶性クーラントはタップやリーマーにはあまり向かないものも多いので、僕はタップとリーマーはマシニングやNC旋盤でもステンコロリンをスプレーして加工してます。

さすがに量産ラインではタップとリーマー工程のみスプレーするのは非効率なので、クラントは油性にしたりエマルジョンのタイプを使用します。

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