SUS304などのステンレス鋼は、熱伝導率が低いく硬度も高いのでトラブルが多い材料です
切削加工中の刃先温度は800℃〜1200℃に達します
工具はの刃先温度が高温になると、軟化が起こり急速に摩耗が進行します
さらにはステンレス鋼は加工硬化が起こりやすく、トラブルが多いため難削材と呼ばれます
ステンレスの穴あけ加工に適したドリル
ステンレス鋼加工用ドリルの選び方
ドリル材種は耐摩耗性に優れたコーティング付きの超硬が最適です
刃形状は、切削抵抗が軽減される強ねじれ、刃先の摩擦熱を軽減するため120°〜140°と刃先角を大きくし、接触長さを短くします
同じ切込み量の場合、刃先角度の大きい形状の方が、切粉の厚みが増します
ドリル先端部分のストレート部(チゼルエッジ)が短いと、中心部からの切粉の排出が良くなり、求心性と食い付きもよくなります
ステンレス鋼の加工に適した超硬ドリル
ステンレスは熱伝導率が低いため、熱対策がポイントになります
クーラントによる給油のほかに、耐熱性の高い超硬素材のドリルを使用する事で
摩耗を抑制できます
ステンレス専用は、コーティング、刃先形状、溝形状がステンレス鋼に最適化されています
特に油孔付きドリルは内部給油のため、切削ポイントに直接クーラントが届くため
冷却・潤滑が効率的で、高圧クーラントシステムで利用する事で切粉の排出も促します
ステンレス鋼の加工に適したハイスドリル
ステンレス専用に設計された、強ねじれのコーティングハイスドリルは
ハイスの高い靭性で、カケなどのトラブルが少ないのが特徴です
超硬に比べて耐熱性は低いため、周速は下げる必要がありますが
冷却と、潤滑が最適であれば問題なく使用できます
ステンレス鋼の穴あけ加工方法
ステンレス鋼の加工ポイント
ステンレス鋼の穴あけ加工時はステップは出来る限り少なくするのがポイントです
ステップする事で、スリ現象が多発するため無駄に摩耗させてしまうことになります
切粉が長くで絡む場合は条件が合っていません
ステップで切粉を短くするのでは無く、周速と送りのバランスを最適化しましょう
ドリルは本来切粉が分断するように設計されています
切粉の分断は切削速度を上げ、送り量を多高めることが有効です、
十分な潤滑は必須となります
ステンレス鋼の切削条件
ドリルの回転数の求め方は下記公式です、工具カタログに同じものが載っています
主軸回転数(min-1)=切削速度(m/min)×1000÷3.14÷工具径
切削速度=20
工具径=Φ10
の場合
20×1000÷3.14÷10=636.9
637min-1 となります
送り速度=主軸回転数(min-1)×1回転当たりの送り量(mm/rev)
主軸回転数=637min-1
1回転当たりの送り量=0.2mm/rev
637×0.2=127.4となります
推奨切削条件は工具材種・コーティング・形状によるので、使用する工具メーカーの推奨条件表を参考に設定してください
ステンレスの場合切削速度はおおよそ20~50m/minです
ステンレス加工のクーラント
ステンレス鋼のドリル加工には十分な潤滑と冷却が必要です
潤滑によって摩擦を低減し、摩擦熱を抑制し、冷却効果で温度上昇を抑制します