こんにちは!今回は、機械加工で欠かせない「切削加工」とその過程で発生する「熱」について、初心者の方向けにわかりやすく解説します。切削加工の仕組みや熱がどのように影響するかを理解することで、加工のトラブル解決や精度向上に役立ててください!
1. 切削加工中に発生する「熱」って何?
金属を切ると、切削工具と加工する材料(被削材)の接触部分で摩擦や変形が起こります。このとき発生する熱が「切削熱」と呼ばれるものです。
切削熱は以下の3つの要因から発生します
- ① せん断熱:材料を切りくずとして分離する際のエネルギー。
- ② 摩擦熱:工具と切りくずの接触部分で生じる摩擦。
- ③ 分離熱:刃先が材料を切り離すときのエネルギー(比較的小さい)。
2. 切削熱はどこに行く?
切削中に発生した熱は、以下のように分配されます:
- 切りくず:一番多くの熱がここに移動します(70〜80%が切りくずへ)。
- 工具:熱が伝わると摩耗が進み、工具寿命が短くなる原因に。
- 被削材:熱が伝わりすぎると、加工精度が落ちたり表面が変質したりします。
切りくずが熱を持ってどんどん逃げていくことで、工具や被削材への影響を軽減する役割を果たしています。
3. 切削熱が加工に与える影響
熱が発生することで、以下のようなトラブルや現象が起こることがあります:
1. 工具の摩耗
高温になると、工具の表面が削られやすくなります。特に、刃先近くに「クレータ摩耗」と呼ばれる摩耗が発生することが多いです。
2. 加工面の変質
被削材に熱が伝わりすぎると、表面に「残留応力」が発生します。これが製品の寿命や耐久性に影響を与える場合があります。
3. 寸法精度の低下
熱で被削材が膨張すると、加工後に冷えたときに寸法が変わることがあります。
4. 温度をコントロールする方法
切削熱を上手にコントロールすることが、加工のトラブルを減らすカギです。以下の方法を試してみましょう:
方法1. 切削条件を調整する
- 切削速度を下げる:熱が発生しにくくなる。
- 送り量を調整する:適切な送り量にすることで摩擦を抑えられる。
方法2. 切削油を使用する
切削油は、以下の役割を果たします:
- 摩擦を減らす(潤滑効果)。
- 工具や被削材を冷却する(冷却効果)。
- 切りくずの排出を助ける。
方法3. 適切な工具を選ぶ
工具材質(例えば、超硬工具やセラミック工具)や形状を加工条件に合わせて選ぶことで、熱に強い加工が可能になります。
5. 温度を測る方法もある!
「切削中の温度を測定する」ことで、より詳細に原因を分析することも可能です。例えば:
- 熱電対:工具や被削材に電極を設置し、温度を測る方法。
- 赤外線センサー:非接触で温度を測る簡単な方法。
こうした測定で得られたデータをもとに加工条件を最適化できます。
6. 初心者におすすめ!切削熱トラブルの回避ポイント
- 工具の摩耗が早いと感じたら「切削速度を下げて」みましょう。
- 加工面が粗い場合は、切削油を使うと改善することが多いです。
- 長時間加工する際は、定期的に工具を交換することも重要です。
おわりに
切削加工における「熱」の影響を理解することで、トラブルを未然に防ぎ、より精度の高い加工が実現できます。機械加工の初心者でも、切削条件や工具選びを工夫すれば、熱による問題を大幅に軽減できますよ!
これからも機械加工の奥深さを楽しみながら学んでいきましょう!