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【第2回】固定サイクルを使った穴あけ加工|Gコードの活用法とサンプルプログラム

NCプログラム
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NCプログラムで頻繁に使用される穴あけ加工。この作業を効率化するために、**固定サイクル(Gコード)**が利用されます。特に小ロット多品種生産では、短時間でのプログラム作成が重要です。本記事では、固定サイクルの基礎から実践的なサンプルプログラムまでを解説します。


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1. 固定サイクルとは?

固定サイクルは、繰り返し行われる加工動作を簡略化するためのGコードです。通常のプログラムでは複数行で記述する動作を1行で指示でき、プログラムの短縮や見やすさの向上が期待できます。

代表的な固定サイクル:

コード用途
G81単純な穴あけ
G83深穴加工(段階的に穴をあける)

2. G81とG83の違い

G81(単純な穴あけ)

1回の送り動作で穴をあけるシンプルな加工に使用します。

  • :浅い穴あけや薄板の加工
G81 R1.0 Z-5.0 F100
  • R1.0:安全位置(工具が移動する初期高さ)
  • Z-5.0:穴の深さ
  • F100:送り速度

G83(深穴加工)

工具が一定の深さごとに戻りながら穴をあける加工に使用します。

  • :深い穴や切りくずの排出が必要な場合
G83 R1.0 Z-20.0 Q5.0 F100
  • Q5.0:1回の送り量(ピッチ)
  • 工具が5mmずつ切削し、切りくずを排出します。

3. プログラム例:穴あけ加工

プログラム例1:G81による単純な穴あけ

以下は、4つの穴を加工するプログラム例です。

N1 G21 G17 G90          (ミリ単位、XY平面、絶対座標)
N2 T1 M06 (工具交換:ドリル)
N3 G54 (ワーク座標系設定)
N4 S1000 M03 (主軸正転、回転数1000rpm)
N5 G00 X10.0 Y10.0 Z5.0 (工具を最初の穴位置に移動)
N6 G81 R1.0 Z-5.0 F200 (単純穴あけ、深さ5mm)
N7 X30.0 Y10.0 (2つ目の穴)
N8 X30.0 Y30.0 (3つ目の穴)
N9 X10.0 Y30.0 (4つ目の穴)
N10 G80 (固定サイクル解除)
N11 M30 (プログラム終了)

結果:10×10mm間隔で4つの浅い穴があきます。


プログラム例2:G83による深穴加工

次に、深さ20mmの穴を2つ加工するプログラムを示します。

N1 G21 G17 G90          (ミリ単位、XY平面、絶対座標)
N2 T1 M06 (工具交換:深穴ドリル)
N3 G54 (ワーク座標系設定)
N4 S1200 M03 (主軸正転、回転数1200rpm)
N5 G00 X50.0 Y50.0 Z5.0 (工具を最初の穴位置に移動)
N6 G83 R1.0 Z-20.0 Q5.0 F150 (深穴加工、ピッチ5mm)
N7 X70.0 Y50.0 (2つ目の穴)
N8 G80 (固定サイクル解除)
N9 M30 (プログラム終了)

結果:X50.0とX70.0の位置に深さ20mmの穴があきます。


4. 固定サイクルの注意点

  1. 安全位置の設定
    • R値(安全位置)は、ワークや治具にぶつからないよう十分な高さを指定してください。
  2. 切削条件の最適化
    • 深穴加工では、**送り速度やピッチ(Q値)**を適切に設定しないと工具破損の原因になります。
  3. 固定サイクル解除(G80)
    • 固定サイクルを使い終わったら必ず解除すること。次の加工に影響を与える可能性があります。

まとめ

固定サイクルを活用すれば、プログラムの短縮と効率化が可能です。初心者でもG81とG83を理解すれば、基本的な穴あけ加工が容易に行えます。次回は、プローブを使った加工後の寸法測定と補正について解説します!

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