NCプログラムは、製造業で使用する工作機械を操作するための指示書です。特に小ロット多品種生産では、効率的なプログラム作成が品質向上と納期短縮に直結します。本記事では、NCプログラム初心者向けに基本構成や主要コードを解説し、簡単なサンプルプログラムを紹介します。
1. NCプログラムとは?
NC(Numerical Control)プログラムは、数値を用いて工具や機械の動きを制御します。以下が主な要素です:
- Gコード:機械動作を指示(直線移動、円弧加工など)
- Mコード:補助機能を指示(主軸の回転、クーラントのON/OFFなど)
NCプログラムの基本は、これらのコードを組み合わせて作成することです。
2. GコードとMコードの役割
代表的なGコード
コード | 内容 | 例 |
---|---|---|
G00 | 高速移動 | G00 X50.0 Y20.0 |
G01 | 直線補間 | G01 X100.0 Y50.0 F500 |
G02 | 円弧加工(時計回り) | G02 X50 Y50 I25 J0 |
G03 | 円弧加工(反時計回り) | G03 X50 Y50 I-25 J0 |
代表的なMコード
コード | 内容 |
---|---|
M03 | 主軸正転(時計回り) |
M06 | 工具交換 |
M30 | プログラム終了 |
これらを使いこなすことで、機械操作の幅が広がります。
3. 座標系と原点設定の基本
NCプログラムを作成する際、工具が動く基準点(ワーク座標系)を設定する必要があります。
座標系の種類
- G54~G59:ワーク座標系(加工の基準点)
- G92:原点設定
例:ワークの左下を基準に加工する場合:
G54
G92 X0 Y0 Z0
4. サンプルプログラムの解説
以下は、工具で直線を加工する簡単なプログラムです。
N1 G21 G17 G90 (ミリ単位、XY平面、絶対座標)
N2 G00 X0 Y0 (工具を原点に移動)
N3 G01 Z-5.0 F100 (Z軸方向に工具を下げる)
N4 G01 X50.0 Y50.0 F200(直線加工)
N5 G00 Z10.0 (工具を上げる)
N6 M30 (プログラム終了)
解説
- G21:ミリ単位を指定(G20の場合はインチ)
- G90:絶対座標系を指定
- G01:工具が直線的に動く指示
- M30:プログラムの終了
結果
このプログラムを実行すると、ワーク上に50mm×50mmの直線が加工されます。
初心者に役立つポイント
- プログラムはシンプルで構成が見やすいことが重要です。
- 初めてのプログラム作成時には、紙に図を書くことで動きを確認するとミスが減ります。
まとめ
NCプログラムの基礎を理解すれば、簡単な加工ができるようになります。特に小ロット多品種生産では、手軽に修正やカスタマイズが可能なプログラム作成が求められます。次回は、固定サイクル(G81、G83)を使った穴あけ加工プログラムを解説します!