エンドミルの「リード角」とは、切れ刃の傾き角度を指します。この角度は、加工結果におけるバリの発生や加工面の精度に大きな影響を与えます。特に高精度な加工を求められる現場では、リード角の選択が仕上がりの良し悪しを左右する重要な要素です。この記事では、リード角が加工にどのように影響を与えるのか、またどのように選定すればよいのかを解説します。
1. リード角とは?
リード角は、エンドミルの刃先が加工物に当たる際の傾き角度を指します。この角度は0°から45°程度までさまざまな設定があり、加工材や目的に応じて選択されます。
2. リード角とバリの関係
リード角が大きい(45°程度)場合
- 刃先が斜めに接触するため、加工物にかかる切削力が分散されます。
- 材料が押される力が少なくなり、バリが発生しにくくなるのが特徴です。
- 特にアルミニウムや銅のような柔らかい材料で効果が高く、バリを抑えた滑らかな加工が可能です。
不等リードの採用パワーラジアスエンドミル
MSX440・MSXH440R | 日進工具株式会社
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アルミ用高能率エンドミル
リード角が小さい(0°~15°程度)場合
- 刃先がほぼ垂直に接触するため、切削力が集中しやすくなります。
- この集中した力が、加工材を押し出す形になり、バリが発生しやすくなる原因となります。
3. リード角と加工精度の関係
リード角が大きい場合
- 加工面に対して刃先の接触範囲が広がるため、加工面が均一に削られます。
- 面粗さが改善され、高精度な仕上がりが期待できます。
- ただし、工具の剛性が低い場合、たわみや振動が発生し、精度が低下する可能性があります。
リード角が小さい場合
- 切削力が一点に集中するため、粗加工や硬い材料の加工で効果的です。
- しかし、面仕上げの精度は低くなる傾向があるため、後工程で仕上げ加工を行う場合に適しています。
4. リード角の選択ポイント
加工の目的や条件によって、適切なリード角を選ぶことが重要です。以下を参考にしてください:
- バリを抑えたい場合
柔らかい材料:リード角が大きい(30°~45°)エンドミルを選択する。
硬い材料:適切なリード角(15°~30°)を使用し、切削条件を最適化する。 - 高精度な面仕上げを求める場合
面精度を重視する加工では、リード角が大きいエンドミルを選択する。
切削速度や送り速度を適切に調整し、振動を抑えることも重要です。 - 粗加工や硬い材料の加工
リード角が小さいエンドミルを使用し、切削力を集中させることで効率を向上させる。
5. 実際の選択例
- アルミニウム加工(薄物部品)
リード角 45°のエンドミルを使用。バリが少なく、滑らかな仕上げを実現。 - 鋼材の粗加工
リード角 15°~30°のエンドミルを使用。高い切削力で効率的な加工が可能。 - プラスチック加工(仕上げ重視)
リード角 30°以上を選択。バリが発生しにくく、美しい仕上がりが得られる。
6. まとめ
エンドミルのリード角は、加工時のバリの発生や仕上がりの精度に大きな影響を与えます。加工材の特性や目的に応じて適切なリード角を選択することで、加工の効率と品質を大きく向上させることができます。
エンドミルの選定に迷った場合は、加工条件や材質に適した角度を試してみてください。小さな変更が、大きな改善につながるかもしれません!