マクロプログラムは、CNC(コンピュータ数値制御)マシニングセンターで柔軟な加工を可能にする高機能なプログラミング手法です。ファナックNC搭載機では、この機能を活用することで、従来のGコードでは実現しにくい作業の自動化や効率化が実現できます。ここでは、マクロプログラムの概要とその役割を初心者向けに解説します。
マクロプログラムとは?
マクロプログラムは、数値制御(NC)のためのスクリプト言語のようなものです。通常のGコードに加えて、条件分岐、繰り返し処理、変数の使用が可能になり、加工の柔軟性を大幅に向上させます。
- 特徴
- 汎用性:同じプログラムで異なる部品加工が可能
- 自動化:条件に応じた動作の変更や繰り返し処理
- エラー防止:加工内容の検証や異常検出の実装
マクロプログラムの基本的な機能
- 変数の使用
- プログラム内で数値を保持する「変数」が利用可能です。これにより、汎用的なプログラムの作成ができます。
- 例:
#100 = 10
(変数#100に値10を代入)
- 条件分岐
- 加工条件によって動作を変更することができます。
- 例:
IF[#100 GT 0] GOTO 10
(#100が0より大きければ行10にジャンプ)
- 繰り返し処理
- 同じ作業を何度も繰り返すプログラムが簡単に書けます。
- 例:
WHILE[#101 LE 5] DO1
(#101が5以下の場合、ループを実行)
- 計算機能
- 四則演算だけでなく、三角関数や平方根なども使用可能です。
- 例:
#103 = SIN[#102]
(#102のサイン値を#103に代入)
通常のGコードとの違い
項目 | 通常のGコード | マクロプログラム |
---|---|---|
柔軟性 | 固定的な動作 | 条件に応じた動作変更 |
効率 | 部品ごとに個別作成 | 使い回し可能 |
自動化 | 手動で設定変更 | 自動で設定変更 |
エラー防止 | 手動確認 | 自動検証 |
マクロプログラムの適用例
以下のような加工で特に有効です。
- 穴あけ加工
同じパターンで複数の穴を開ける際に、変数で位置を指定し、1つのプログラムで対応。 - 加工後の寸法測定と補正
主軸プローブを使用し、加工後に寸法を測定して補正を行う。 - NG判定と再加工
寸法が許容値を超えた場合に自動でNG処理を実行、再加工やアラートを出す。
次回予告
次回は、「基本構文とコマンドの解説」です。マクロプログラムを書くために知っておきたい変数や演算子、条件分岐の基本を具体例とともにご紹介します。
シリーズを通じて、実際に使えるプログラム例もお届けしますので、お楽しみに!