第2回:CAMソフトの選定と導入のポイント
前回はCAMを使った自動化のメリットと基本概念について紹介しました。
今回は、自社の加工に最適なCAMソフトの選び方と導入時のポイントを解説します。
CAMソフト選定の重要性
CAMソフトは各メーカーから様々な種類が販売されていますが、機能やコスト、対応できる加工内容はソフトごとに大きく異なります。
ここで間違った選定をしてしまうと、後々の運用で大きな負担になりかねません。
CAMソフト選定の基準
1. 加工内容に合わせた機能
CAMソフトは対応する加工範囲によって、以下のように分類できます。
加工内容 | おすすめソフト | 特徴 |
---|---|---|
2D加工(穴あけ、フライス) | Fusion 360、Mastercam | 比較的低コストで習得しやすい |
3D加工(曲面加工) | hyperMILL、PowerMILL | 複雑な3D形状に対応 |
5軸加工 | hyperMILL、ESPRIT | 高精度・高難度の加工に対応 |
金型加工 | Cimatron、hyperMILL | 金型特有の加工機能を搭載 |
2. 操作性
CAMソフトはオペレーターが毎日使うツールです。
直感的に操作できるかどうかは、生産効率にも直結します。
試用版が用意されている場合は、導入前に必ず試してみましょう。
3. ポストプロセッサの対応機種
CAMソフトによっては特定の機械にしか対応していない場合があります。
自社のマシニングセンター用ポストプロセッサが提供されているかを必ず確認してください。
4. コスト
導入コストと維持費用も重要な選定ポイントです。
ソフト名 | 導入費用 | 年間サポート費用 | 対応機能 |
---|---|---|---|
Fusion 360 | 約7万円 | 約5万円 | 2D/3D加工対応 |
hyperMILL | 約300万円 | 約30万円 | 3D/5軸加工対応 |
ESPRIT | 約400万円 | 約40万円 | 5軸・複合加工対応 |
5. サポート体制
トラブル発生時の対応の早さや、操作講習などのサポートが充実しているメーカーを選ぶと安心です。
CAMソフト導入の流れ
- デモ版の試用
- ポストプロセッサの作成・調整
- オペレーターへの教育・訓練
- サンプルワークのプログラム作成・実加工テスト
- 正式導入・稼働開始
導入時の注意点
- マシニングセンターの加工精度に合わせた工具パスの調整が必要
- 干渉チェック機能やシミュレーション機能を必ず利用する
- ポストプロセッサの調整はメーカーに依頼するのがベスト
まとめ
CAMソフトの選定は、今後の自動化の成否を左右する重要な工程です。
自社の加工内容やオペレーターのスキルを考慮し、慎重に選びましょう。
次回の予告
次回は自動加工プログラム作成のワークフローについて解説します。
3Dモデルの準備からツールパスの生成、NCプログラムへの変換までの流れを詳しく紹介します!