アルミニウムは軽量で加工しやすく、腐食しにくい金属として多くの製品に使われています。しかし、適切に扱わないと「電食」などの腐食が発生することがあります。この記事では、アルミの腐食の原因と防止策をわかりやすく解説します。加工中に起こりうる腐食やアルマイトへの影響も取り上げますので、初心者から経験者まで参考にしてください!
1. アルミの腐食の原因とは?
アルミが腐食する主な原因は次の3つです。
① 異種金属との接触(ガルバニック腐食)
アルミが鉄や銅などの異種金属と直接触れると、電位差によって腐食が進むことがあります。これは「ガルバニック腐食」と呼ばれ、水分(雨や湿気)があると進行しやすくなります。
② 表面処理の不十分さ
アルミの表面は酸化被膜によって自然に保護されていますが、機械加工や衝撃でこの被膜が破壊されると腐食しやすくなります。
③ 電解質の影響
水溶性の加工液や湿気が電解質として作用し、アルミと他の金属が触れている箇所で腐食を誘発します。
2. 加工中にも腐食は起こるのか?
アルミの加工中にも条件次第で腐食が発生する可能性があります。
【原因と状況】
- 加工液の影響
水溶性の加工液が電解質として働き、工具や治具の金属と電食を引き起こします。 - 異種金属の治具や工具の使用
銅や鉄製の治具がアルミに触れることで腐食が発生する場合があります。 - 湿気や水分
湿気が高い環境では加工後に腐食が進むリスクが高まります。
【加工中の対策】
- 防錆性の高い加工液を使用する。
- 異種金属治具の代わりに非導電性の治具を使用する。
- 加工後に速やかに洗浄・乾燥を行う。
3. 腐食がアルマイトに及ぼす影響
アルマイト処理はアルミの耐食性を向上させますが、電食が起きると次のような影響を受けます。
【影響】
- アルマイト層の剥離
腐食が進むとアルマイト層が剥がれ、アルミ本体が露出します。 - 表面の変色や斑点
美観が損なわれ、製品価値が低下します。 - 耐食性の低下
一度損傷すると腐食が広がりやすくなります。
【防止策】
- アルマイト処理後にしっかり封孔処理を行う。
- 異種金属との接触を防ぐため、絶縁処理を施す。
4. アルミの腐食を防ぐ具体的な対策
アルミの腐食を防ぐためには、以下のポイントに注意してください。
① 異種金属との接触を避ける
- 異種金属と接触する部分に絶縁材(シートやコーティング)を使用する。
- 設計段階で異種金属間の電位差が大きくならない材料を選定する。
② 加工液の管理
- 腐食抑制剤入りの加工液を選び、適切な濃度で管理する。
- 使用後は加工液をしっかり洗浄し、水分を完全に除去する。
③ 表面処理の徹底
- アルマイト処理や塗装を施して表面を保護する。
- 機械加工時に発生した傷を速やかに修復する。
④ 使用環境の改善
- 湿気の多い環境では防湿対策を行う。
- 塩分や酸性雨などの影響を受ける場合は防錆処理を追加する。
5. まとめ:アルミの腐食を未然に防ぐには?
アルミニウムの腐食を防ぐには、原因を理解し、適切な対策を取ることが重要です。以下を心がけてください:
- 異種金属との接触を防ぐ
絶縁材や設計工夫を活用しましょう。 - 加工液の選定と管理
防錆効果のある加工液を使い、加工後はしっかり洗浄・乾燥を。 - アルマイト処理の品質を向上
封孔処理を確実に行い、耐食性を高める。
腐食対策をしっかり行うことで、アルミ製品の耐久性や美観を保つことができます。ぜひ実践してみてください!