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真円加工のマクロプログラム解説

NCプログラム
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真円加工は、部品の内径や外径に高精度な円形形状を求められる加工で、特にNCマシンでは効率的な自動化が可能です。本記事では、外径および内径の真円加工を以下の内容で詳しく解説します。

  1. 円弧進入を活用した真円加工
  2. 変数の利用による柔軟なプログラム設計
  3. 径補正を用いた加工方法

実際のサンプルプログラムを交え、初心者から中級者まで理解できる内容となっています。


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1. 真円加工とは?

真円加工は、円形の内外径を高精度に仕上げるための加工技術です。円弧進入は、工具負荷を減らし加工精度を向上させる効果があり、真円加工では特に有効です。

円弧進入のメリット

  • 工具の寿命を延ばす。
  • 加工面の精度向上。
  • 切削開始時の振動や工具欠損を防止。

2. 外径真円加工(円弧進入)

外径加工では、工具を円の外側から円弧を描いて進入させることで、滑らかな切削が可能になります。

サンプルマクロプログラム(外径加工)

以下は、外径50mm、深さ2mmの加工例です。

O1000 (外径真円加工)
#1=25.0 (半径)
#2=2.0 (切削深さ)
#3=0.5 (送り量)
#4=2000 (主軸回転数)

G21 G17 G90 G40
T1 M6
S#4 M3
G0 G54 X[#1+5] Y0 (加工開始位置)
Z5.0
G1 Z-#2 F200 (切り込み)

G2 I-#1 J0 F#3 (円弧進入)
G2 I#1 J0 (真円加工)
G0 Z5.0
M30

プログラムの変数解説

  • #1(半径):加工する円の半径を指定。
  • #2(切削深さ):切削する深さ。
  • #3(送り量):加工速度を変数化。
  • #4(主軸回転数):工具の回転数を設定。

円弧進入の動作

  • G2 I-#1 J0:工具が外側から円弧を描いて材料に接触。
  • G2 I#1 J0:円周に沿って真円加工。

3. 内径真円加工(円弧進入)

内径加工では、工具を円の内側から徐々に接触させることで、仕上げ精度を向上させます。

サンプルマクロプログラム(内径加工)

以下は、内径30mm、深さ2mmの加工例です。

O2000 (内径真円加工)
#1=15.0 (半径)
#2=2.0 (切削深さ)
#3=0.5 (送り量)
#4=1500 (主軸回転数)

G21 G17 G90 G40
T1 M6
S#4 M3
G0 G54 X[#1-5] Y0 (加工開始位置)
Z5.0
G1 Z-#2 F200 (切り込み)

G2 I-#1 J0 F#3 (円弧進入)
G2 I#1 J0 (真円加工)
G0 Z5.0
M30

プログラムの変数解説

  • #1(半径):加工する円の半径。
  • #2(切削深さ):切削する深さ。
  • #3(送り量):加工速度を調整。
  • G0 X[#1-5]:工具が真円の内側から円弧を描いて進入。

4. 径補正を活用した真円加工

真円加工で高精度な仕上げが求められる場合、**径補正(G41/G42)**を活用すると便利です。これにより、工具径を補正しながら加工を行えます。

径補正を使ったサンプルプログラム(外径加工)

以下は、工具径を補正して外径50mmを加工する例です。

O3000 (外径真円加工 径補正使用)
#1=25.0 (半径)
#2=2.0 (切削深さ)
#3=0.5 (送り量)
#4=2000 (主軸回転数)

G21 G17 G90 G40
T1 M6
S#4 M3
G0 G54 X[#1+10] Y0 (加工開始位置)
Z5.0

G1 Z-#2 F200 (切り込み)
G41 D1 (左側径補正ON)
G2 X#1 Y0 I-#1 J0 F#3 (円弧進入)
G2 I#1 J0 (真円加工)
G40 (径補正キャンセル)
G0 Z5.0
M30

径補正プログラムの解説

  • G41 D1:左側に径補正を適用。
  • D1:工具径データを参照(機械側で設定済み)。
  • G40:径補正のキャンセル。

5. 変数と径補正を組み合わせた応用例

以下は、外径加工で可変パラメータを使用し、複数回の切り込みを行うプログラム例です。

O4000 (外径加工 変数と径補正の併用)
#1=25.0 (最終半径)
#2=5.0 (切削深さ)
#3=0.5 (送り量)
#4=2000 (主軸回転数)
#5=3.0 (1回あたりの切り込み量)

G21 G17 G90 G40
T1 M6
S#4 M3

#6=0.0 (現在の切削量)
WHILE[#6 LT #2] DO1
G0 G54 X[#1+#6+5] Y0
Z5.0
G1 Z-[#6+#5] F200
G41 D1
G2 X[#1+#6] Y0 I-#1 J0 F#3
G2 I#1 J0
G40
#6=[#6+#5] (切削量の更新)
END1

G0 Z5.0
M30

特徴

  • 複数回に分けて深さを加工するループを採用。
  • #6を使い現在の切削深さを管理。
  • 径補正で高精度な仕上げを実現。

6. まとめ

真円加工のマクロプログラムにおいて、変数径補正を組み合わせることで、柔軟性と高精度を両立した加工が可能です。

  • 円弧進入:加工負荷を軽減し、工具寿命を延ばす。
  • 変数活用:さまざまなサイズに対応した汎用プログラムを実現。
  • 径補正:仕上げ精度を向上させる必須技術。

これらを応用することで、さらなる生産性向上が期待できます。

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