NC旋盤やマシニングセンターでの加工では、工具や加工材に錆が発生すると、製品精度や工具寿命に影響を及ぼします。今回は、錆が発生する原因とその対策をわかりやすく解説します。
■ 錆が発生する原因とは?
加工中に錆が発生する主な原因は以下の通りです:
- 湿度や温度の影響
工場内の湿度が高い場合、加工中の加工材や工具表面に水分が付着し、酸化反応を引き起こします。 - 切削液の管理不足
切削液が劣化してpHが変化すると、錆を誘発する環境が整ってしまいます。特に、切削液が酸性化すると金属表面が腐食しやすくなります。 - 加工後の放置時間
加工後に材料や部品を乾燥させないまま放置すると、水分が蒸発せず錆が発生しやすくなります。 - 工具や部材の保管環境
高湿度の環境や温度差が大きい場所で工具や部材を保管すると、結露が発生して錆の原因となります。
■ 錆を防ぐための実践的な対策
1. 切削液の管理を徹底する
- 濃度を定期的にチェック
切削液の濃度が適正でない場合、錆防止効果が薄れます。濃度計を使用して週に一度はチェックしましょう。 - タンク内の清掃
切削液タンクに溜まった切りくずや油が腐敗の原因となり、切削液の劣化を招きます。月に1回を目安に清掃を行いましょう。
2. 加工後の迅速な処理
加工が終わった後は、速やかに切削液を拭き取り、乾燥させることが重要です。エアブローで表面を乾かすか、乾燥装置を活用して湿気を取り除きましょう。
3. 防錆剤を活用する
加工材や工具の表面に防錆スプレーを塗布すると、錆の発生を予防できます。特に長期間保管する場合や高湿度環境での作業では効果的です。
4. 工場内の環境を整える
- 湿度をコントロールするために、除湿機やエアコンを活用しましょう。
- 工場内の清掃を徹底し、加工中に金属粉が湿気を吸収して錆びるのを防ぎます。
5. 材料や工具の保管方法を見直す
- 乾燥した専用の保管庫に工具や材料を置くようにします。
- 防錆紙や乾燥剤を利用すると、湿気から守ることができます。
■ トラブル事例と対策例
事例1: 切削液が酸性化していた
原因: メンテナンス不足により切削液が劣化。
対策: 切削液を交換し、濃度管理を徹底することで錆発生を防止。
事例2: 加工後にエアブローを怠った
原因: 加工後、切削液を拭き取らずに長時間放置。
対策: 加工後すぐにエアブローを行い、防錆剤を塗布。
■ まとめ
錆発生を防ぐには、「加工環境」「切削液管理」「加工後の処理」の3つが鍵です。定期的な点検とメンテナンスを行い、錆によるトラブルを未然に防ぎましょう。
現場での些細な対策が、製品の品質向上や工具寿命の延長につながります。ぜひ取り入れてみてください!