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リード角と工具選定の関係:加工精度を左右する要因とは?

切削加工の基礎
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リード角は切削性能に大きな影響を与えますが、それに適した工具を選定することも非常に重要です。本記事では、リード角と工具選定の関係について解説し、それぞれの加工用途に応じた最適な工具を選ぶポイントを紹介します。さらに、現場で役立つ選定手順も取り上げます。


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1. リード角に応じた工具選定のポイント

リード角は切削の効率性や仕上がり品質に直接影響します。そのため、加工材や目的に応じた工具選定が必要です。

① リード角が小さい工具の特徴

  • 適した用途:硬度の高い材料(ステンレス鋼、工具鋼など)や荒加工に最適。
  • 理由:切削力が一点に集中しやすく、切り込み能力が高いため、硬い材料でも効率よく加工可能。
  • 選定ポイント:切れ味よりも剛性が高い工具を選ぶ(刃先が強化されたもの、コーティング仕様)。

② リード角が大きい工具の特徴

  • 適した用途:アルミや樹脂などの柔らかい材料、または仕上げ加工。
  • 理由:切削力が分散され、加工面が滑らかになるため、精密な仕上がりが得られる。
  • 選定ポイント:切れ味を重視した高精度工具(鋭い刃先、コーティングなしや適切なコーティング)を選ぶ。

2. 工具形状とリード角の相乗効果

エンドミルのリード角は、他の刃先形状や特性と組み合わせることで、加工性能をさらに引き出せます。

① 刃数とリード角

  • 少刃(2枚刃~3枚刃):大きいリード角と相性が良く、切りくず排出性が向上。
  • 多刃(4枚刃以上):小さいリード角と組み合わせることで剛性が向上し、高精度加工に向く。

② ねじれ角とリード角

  • 大きいねじれ角(40°以上):大きいリード角と併用すると、仕上げ面の品質が向上。
  • 小さいねじれ角(20°以下):小さいリード角と相性が良く、硬い材料を効率的に切削。

③ コーティング

  • TiAlNやAlCrNコーティング:小さいリード角と相性が良く、耐摩耗性が向上。
  • ノンコーティングまたはDLCコーティング:大きいリード角で柔らかい材料の加工に最適。

3. リード角と加工材のマッチング

加工材ごとに適したリード角と工具の選定基準を示します。

加工材推奨リード角推奨工具特性
アルミ合金30°~45°刃先鋭利、ノンコーティングまたはDLC
ステンレス鋼5°~15°高剛性、多刃、TiAlNコーティング
樹脂40°以上大ねじれ角、少刃、鋭い刃先
工具鋼10°~20°耐摩耗性が高いコーティング

4. 現場での工具選定手順

ステップ1:加工材と目的の確認

  • 加工材の硬度や特性(例:アルミの柔らかさ、ステンレスの硬度)を把握する。
  • 荒加工か仕上げ加工かを明確にする。

ステップ2:リード角の選定

  • 材料や加工目的に基づいてリード角を仮設定(例:仕上げ加工では30°以上、荒加工では15°以下)。

ステップ3:工具選定

  • 刃数、ねじれ角、コーティングを加工材に合わせて選ぶ。
  • メーカーの推奨データを参考に、適切な工具を選択。

ステップ4:試験加工

  • 小ロットで加工テストを行い、仕上がりや工具寿命を確認。
  • 必要に応じて工具または加工条件を調整。

5. まとめ:リード角と工具選定の一体化で加工精度を向上

リード角と工具特性を正しく理解し、それぞれの加工材や目的に合わせて最適な選定を行うことが、加工精度向上の鍵です。現場での試行錯誤を重ねながら、データを蓄積していくことで、さらなる効率化が実現します。

次回の記事では、**「リード角変更が加工コストに与える影響」**について解説します。加工条件の変更が生産性やコストにどのような影響を及ぼすのか、一緒に見ていきましょう!

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