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リード角が原因のトラブルとその解決法:加工精度向上のためのポイント

切削加工の基礎
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前回の記事では、エンドミルのリード角と切削条件の関係について解説しました。今回は、加工現場でよく起こるリード角が原因のトラブルに焦点を当て、それらを解決する方法を紹介します。具体例を交えながら、トラブルを未然に防ぐ方法も解説していきます。


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1. よくあるトラブルと原因

① バリの発生

現象:加工後、切削面やエッジ部分にバリができる。
主な原因

  • リード角が大きすぎる場合、刃先が材料を押し出すように作用し、バリが発生しやすくなる。
  • 材質が柔らかい(アルミや銅)場合、切削条件が不適切だと発生しやすい。

② 加工面の粗さが悪化

現象:加工面が粗く、仕上がりの精度が低い。
主な原因

  • リード角が小さすぎて、切削力が一点に集中し、振動や工具のたわみが発生。
  • 切削条件(送り量、切削速度)が加工材に適していない。

③ 工具寿命の短縮

現象:工具が予想より早く摩耗・損傷する。
主な原因

  • リード角が加工条件に適していないため、刃先に過剰な負荷がかかる。
  • 工具のコーティングや材質が使用用途に合っていない。

2. トラブル解決のための対策

① バリ対策

解決法

  • リード角を適切に調整:30°~45°の範囲で試行し、バリが少ない角度を探す。
  • 切削速度を上げる:刃先がスムーズに切り込むことで、材料の押し出しを軽減。
  • 切削油を使用:潤滑性を高め、切削の滑らかさを向上させる。

補足:最終工程で逆回転切削面取り加工を追加すると、バリを完全に除去できます。

② 加工面の粗さ改善

解決法

  • 送り量を適切に設定:過剰な送り量は粗さを悪化させるため、適正値に調整。
  • 切込み深さを浅くする:仕上げ加工では、0.2mm以下の浅い切込みを推奨。
  • リード角を増やす:切削力を分散させ、振動を抑える。特に仕上げ加工では45°が効果的。

③ 工具寿命の延長

解決法

  • 切削条件を見直す:切削速度や送り量を加工材に合わせて調整する。
  • 高品質なコーティング工具を使用:耐摩耗性が高いコーティング(TiAlNなど)が長寿命に寄与。
  • 適切な工具クランプ:工具の振れを抑えるため、しっかりとしたチャッキングが重要。

3. リード角変更時の実験例

リード角を変更した場合のトラブル対策を現場で試す際、以下の手順を参考にしてください。

  1. 加工対象材の確認:材質や硬度を把握する。例:アルミは30°以上、鋼材は15°程度から開始。
  2. 加工条件の設定:切削速度や送り量をリード角に合わせて設定。
  3. 加工試験:小ロットで試験加工を行い、トラブルが発生する条件を特定。
  4. 条件調整:トラブルが起きた場合、リード角または切削条件を段階的に調整。

4. トラブル未然防止のポイント

トラブルを避けるためには、日々のメンテナンスやデータ管理が重要です。

  • 工具の摩耗状態を定期点検:工具の寿命を予測し、交換時期を管理する。
  • 加工履歴を記録:リード角や切削条件をデータベース化し、類似条件に活用する。
  • 適切な教育:オペレーターにリード角や切削条件の基礎知識を共有する。

5. まとめ:問題解決は最適なリード角設定から

リード角が原因で発生するトラブルは、正しい理解と条件調整で防げます。加工材、加工目的、設備の特性を考慮しながら、最適な設定を見つけることが成功への鍵です。

次回の記事では、**「リード角と工具選定の関係」**について解説します。リード角に応じた工具選びのポイントを知り、加工精度をさらに向上させましょう!

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