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チタン加工の基本とコツ:マシニングセンターでの最適な加工方法

CAD/CAM
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チタンは軽量で高強度、耐熱性や耐食性に優れた金属であり、航空宇宙産業や医療機器、半導体装置などさまざまな分野で使用されています。しかし、加工性が難しいことでも知られています。この記事では、マシニングセンターを使用したチタン加工の基本とコツをご紹介します。

1. チタン加工の特性を理解する

チタンの加工が難しい主な理由は以下の通りです:

低い熱伝導率: 切削時の熱が工具先端に集中し、摩耗が早くなる。

高い弾性率: 加工中に「ばね戻り」が起こりやすく、寸法精度が狂いやすい。

化学反応性: 工具と反応して溶着しやすい。

これらの特性を克服するには、適切な加工条件と工具選定が重要です。

JFEスチールのチタン

JFEスチール株式会社
JFEスチール株式会社 -わたしたちは、常に世界最高の技術をもって社会に貢献します-

2. チタン加工の最適条件

(1) 切削速度

チタンは摩耗が早いため、切削速度は鋼材と比べて低めに設定します。

切削速度: 20~40 m/minが一般的です(Ti-6Al-4Vの場合)。

• 工具寿命を延ばすために、切削速度を慎重に調整しましょう。

(2) 送り量

切削抵抗を減らしつつ、効率的な切削を行うためには適切な送り量が重要です。

送り量: 0.1~0.3 mm/toothを目安とします。

送り量が低すぎると工具が擦れるだけで摩耗が進み、高すぎると工具の破損リスクが増加します。

(3) 切込み深さ

切込み深さを小さく設定し、熱の発生を最小限に抑えることが重要です。

切込み深さ: 径の10~20%程度が推奨されます。

3. 使用する工具の選定

(1) 工具材質

超硬工具: 耐摩耗性が高く、チタン加工に最適。

コーティング工具: TiAlNやAlTiNコーティングは耐熱性と耐溶着性が優れています。

(2) 刃形状

2枚刃や3枚刃のエンドミル: チップが詰まりにくく、放熱性が良い。

高剛性タイプ: 弾性変形を抑えるため、剛性の高い工具を選択。

4. クーラントの重要性

高圧クーラント: 切削熱を効果的に排出し、切りくずの排出を助けます。

水溶性切削油: チタン加工では冷却効果を最大限に活用するために推奨されます。

クーラント供給が不十分だと、工具寿命が短くなり加工面も粗くなるため注意しましょう。

5. チタン加工の実践的なコツ

(1) 加工条件を最適化

• 加工の途中で切削速度や送り量を調整しながら、工具の状態を確認します。

(2) チップの排出に注意

• チタンは切りくずが絡みやすい金属です。エアブローや高圧クーラントを使い、加工エリアから確実に切りくずを排出しましょう。

(3) 工具寿命の管理

• チタン加工は工具の摩耗が早いため、工具交換のタイミングを定期的に設定しておきましょう。

6. トラブルシューティング

以下は、よくある問題とその対策例です:

問題原因対策
工具が早く摩耗する切削速度が高すぎる切削速度を見直し、コーティング工具を使用する。
加工面が粗い工具の摩耗または振動工具を交換し、取り付け剛性を確認する。
寸法精度が出ないばね戻りや工具剛性の不足小切込みや高剛性工具を使用する。

7. まとめ

チタン加工は手間がかかりますが、適切な加工条件と工具選定を行えば、高品質な仕上がりが可能です。経験を積みながら、最適な設定を追求してみてください。

次回は、具体的な加工事例や工具メーカーの選定についても触れていきますので、ぜひご期待ください!

この記事が、あなたのチタン加工の成功に少しでも役立つことを願っています!

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