はじめに
「錆びない金属」として知られるステンレス鋼。しかし、実際には使用環境や管理方法によって錆が発生することがあります。特に金属加工現場では、切削液や高温環境による影響でトラブルが発生することも。本記事では、ステンレス鋼の錆の原因と除去方法、さらには防止策について詳しく解説します。
1. ステンレス鋼の錆が発生する原因
1-1. 不動態皮膜の破壊
ステンレス鋼はクロムを含むことで表面に不動態皮膜を形成し、錆を防いでいます。しかし、皮膜が切削や摩耗で破壊されると、局所的に錆が発生するリスクが高まります。
1-2. 塩分や化学薬品への曝露
塩分や酸性の薬品が不動態皮膜に影響を与えると、ピッティング(点状腐食)や隙間腐食が起きやすくなります。海岸付近や塩化物を含む環境で使用する場合、特に注意が必要です。
1-3. 切削液や洗浄液の影響
加工時に使用する切削液や洗浄液の残留物が、化学的な反応を引き起こし、錆の原因になることがあります。
2. ステンレス鋼の錆を除去する方法
2-1. 化学的な除去(酸洗い)
専用の酸洗い液を使用して、不動態皮膜を再形成する方法です。施工後はしっかり洗浄し、中和することが重要です。
2-2. 機械的な除去(研磨)
錆が軽微な場合は、研磨材を使用して除去することができます。その際、仕上げに不動態皮膜を再生する処理を行うと、効果が長持ちします。
2-3. 専用防錆剤の塗布
錆の除去後、専用の防錆剤を使用することで、不動態皮膜を補強し、再発を防ぐことが可能です。
3. ステンレス鋼の錆を防ぐためのポイント
3-1. 定期的なメンテナンス
加工後の部品や工具は、錆が発生しやすい環境に放置せず、定期的に清掃や防錆処理を行いましょう。
3-2. 適切な材料選定
環境に応じて、モリブデンを含む耐食性の高いステンレス(例:SUS316)を使用するのも効果的です。
3-3. 保管環境の見直し
部品の保管時には、乾燥剤を使用したり、防錆紙で包むなど、湿気を避ける工夫が必要です。
4. 次回予告
次回は、「鉄系金属の錆取りと防止策」をテーマに、加工現場で特に錆びやすい鉄系材料の具体的な対策を解説します。
錆に強いと思われがちなステンレス鋼でも、適切な管理を怠るとトラブルの原因になります。加工現場での取り扱いをぜひ見直してみてください!
まとめ:ステンレス鋼の錆も適切な対策で防げる!
ステンレス鋼の錆対策では、不動態皮膜を守ることが最重要です。加工後や保管中の環境管理を徹底し、長期的な品質維持を目指しましょう。
ステンレス鋼の耐食性についてさらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
錆の除去に使用する酸洗い剤の製品詳細はこちら。
ステンレス鋼向け防錆剤の使用方法についてはこちらを参考にしてください。