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第3回:便利なマクロプログラムの作成例

NCプログラム
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今回は、実際の加工現場で役立つ具体的なマクロプログラムの例をご紹介します。穴あけ加工や円周上の加工といった、繰り返し作業や規則的な形状の加工を効率化するプログラムを解説します。


1. 穴あけ加工のマクロプログラム

複数の穴を直線上に加工する場合や、特定の間隔で等間隔に配置された穴を加工するケースで便利なプログラムです。

プログラム例:直線上の穴あけ加工

#100 = 5            (加工する穴の数)
#101 = 10.0 (穴の間隔)
#102 = 0.0 (X軸の開始位置)
#103 = 0.0 (Y軸の開始位置)

WHILE[#100 GT 0] DO1
G0 X[#102] Y[#103] (次の穴の位置に移動)
G81 Z-10 R1 F200 (穴あけサイクル)
#102 = [#102 + #101] (X方向に間隔を加算)
#100 = [#100 - 1] (残りの穴の数を減らす)
END1
  • このプログラムでは、開始位置と間隔、穴の数を変数として設定するだけで簡単に加工が可能。
  • G81ドリルサイクルを使用していますが、他の加工サイクルにも応用できます。

2. 円周上の穴あけ加工

複数の穴を円周上に均等配置する場合に便利なプログラムです。中心位置と半径を設定するだけで、簡単に加工位置が計算できます。

プログラム例:円周上の穴あけ

#110 = 6             (加工する穴の数)
#111 = 50.0 (円の半径)
#112 = 100.0 (円の中心X座標)
#113 = 50.0 (円の中心Y座標)
#114 = 0 (現在の穴番号)

WHILE[#114 LT #110] DO1
#115 = [#114 / #110 * 360.0] (現在の穴の角度を計算)
#116 = [COS[#115] * #111] (X方向の穴位置を計算)
#117 = [SIN[#115] * #111] (Y方向の穴位置を計算)
G0 X[#112 + #116] Y[#113 + #117] (計算した位置に移動)
G81 Z-10 R1 F200 (穴あけサイクル)
#114 = [#114 + 1] (次の穴に進む)
END1
  • COSSINを使い、各穴のX・Y座標を計算。
  • 円周上に均等に配置する際に役立ちます。

3. パターン加工:行列状の穴あけ

X軸・Y軸の方向に等間隔で穴を配置するパターン加工に対応したプログラムです。

プログラム例:行列状の穴あけ

#120 = 3             (行数)
#121 = 4 (列数)
#122 = 10.0 (X方向の間隔)
#123 = 10.0 (Y方向の間隔)
#124 = 0.0 (開始位置X)
#125 = 0.0 (開始位置Y)

#126 = 0 (現在の行番号)
WHILE[#126 LT #120] DO1
#127 = 0 (現在の列番号)
WHILE[#127 LT #121] DO2
G0 X[#124 + [#127 * #122]] Y[#125 + [#126 * #123]]
G81 Z-10 R1 F200 (穴あけサイクル)
#127 = [#127 + 1] (列を進める)
END2
#126 = [#126 + 1] (行を進める)
END1
  • このプログラムでは、指定した行数と列数、間隔に応じた穴あけが可能。
  • ネストしたWHILEループで、行と列を管理しています。

4. 主軸プローブを活用した寸法測定

加工後に寸法を測定し、自動的に補正を行うマクロプログラムも有効です。

プログラム例:加工後の測定と補正

#130 = 50.0          (目標寸法)
#131 = 0.0 (測定結果を保持する変数)

G65 P9810 Z1.0 (測定プローブで位置を測定)
#131 = #[5003] (測定結果を取得)

#132 = [#130 - #131] (補正値を計算)
IF[ABS[#132] GT 0.05] THEN
#133 = [#[2001] + #132] (工具長補正に値を加算)
G10 L10 P1 R[#133] (新しい補正値を設定)
ENDIF
  • 測定後、測定値と目標値の差分を計算し、自動で補正を行います。
  • 許容範囲外の場合にはエラー処理や再加工の条件も追加可能です。

まとめと応用

これらのマクロプログラムは、汎用性が高く、少し変更するだけで他の加工にも応用できます。例えば、穴あけ加工をタップ加工や輪郭加工に変更することで、さらに幅広い作業を自動化できます。


次回予告

次回は、加工後の寸法測定と補正に加え、NG判定と再加工を組み合わせた「異常処理対応のマクロプログラム」をご紹介します。

実際の加工現場で活用できるノウハウを続けてお届けします!

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